感想を書いてはいけない「読書感想文」(選ぶ立場から)

感想を書いてはいけない「読書感想文」(選ぶ立場から)

 

 先日職員会議が行われた。議題の中心は夏休みの行事だった。その中に「読書感想文」の項目があった。あと夏休みまで1ヶ月。せっかく楽しい夏休みでも宿題のことを考えると憂鬱になる保護者も多いのでは。特に読書感想文は重荷である。問題は本を読んで感想を書こうとするからだろう。

 

書く前から決まっている

 教員として選ぶ立場から言うと課題図書以外どのような本を選んだかでほぼ入選するかどうか決まってしまう。本の抜き書きとその時の思ったことが交互に書かれている読書感想文ほど読んでいて苦痛になるものはない。書いてきた子供には悪いと思う。

面白いからといって、「かいけつゾロリ」などでは、感想文を書くことは難しい。そのために、読んだ本から作文を書くのではなく、読書感想文を書くことができる本を選ぶ必要がある。

 

読書のビフォー、アフター

 では、読書感想文に何を求めるのか。それは読書のビフォーアフターである。その本を読む前と後にどのような変化があったか。できれば行動が変われば感想文として書きやすい。そのために人物を描いた本や努力を描いた本などにすると書きやすいだろう。

 

行動できるもの

 また、行動するという面では「わかったさん」シリーズも書きやすいだろう。わかったさんがカレーやハンバーグなどの料理を作っていく。読んだ感想に合わせて一緒に料理を作った作文を書く。

また、体の不自由な方が書かれた本も感想文としては書きやすい。例えば「足が不自由な人」の本があれば、実際に車椅子など、同じ体験や生活をしてみる。その中でどのような苦労があるのか書かれている内容と比較しながら自分の思いを作文に書く。最終的には、自分に何ができるのかまとめれば立派な読書感想文となる。

 

話し合える本

 感想だけでなく、多様な考えができる本も良いだろう。大切なことは保護者の方も読んで感想や思ったことを子供と話し合う。その時にレコーダーなどで録音しておく。あとはテープ起こしだけで感想文の流れができる。

 

課題図書は買わない

 読書感想文を書くために課題図書を買うのは意味がない。保護者の方が「せっかく課題図書を買ったのだから、この本で書きなさい」と言うのは全く意味がない。自分だったらどのような感想文を書くのか、そういった思いで本を選ぶといよい。

 課題図書でなければ、図書館や学校の図書室で借りることができる。夏休みは好きな本を心ゆくまで読むことをお勧めする。