「旅立ちの日に」が消えた卒業式

旅立ちの日に」が消えた卒業式

 YouTubeでたまたま目に止まった「旅立ちの日に」。今まで卒業式で何回聞いたことだろう。6年生の担任として、指揮をしたこともある。当然練習の時には、「もっと大きな声で」「姿勢が悪い」など注意することもあった。しかし卒業式では泣いて声が出ない子、顔を赤くして一生懸命に歌っている子。その歌を聴き、一人一人の子供たちの姿を見ながら、この1年間の思い出や一人一人の子供の姿を思い浮かべる。担任にとって今までの苦労がいっぺんでどこかへ言ってしまう瞬間。

 しかし、コロナ禍のために今年はその歌を聞くことができなかった。

 私の勤務している小学校でも先日卒業式が行われた。輝いて入場してくる子供たちの顔。しかし拍手するのは、保護者と教員のみ。例年いる学校の1年から5年生までの子供たちの姿はない。コロナのために参加できない。

  卒業証書授与では、担任が一人一人の名前を呼びあげると卒業生が「はい」と返事をして立ち上がり、卒業証書を取りに行く。担任は感慨に浸るよりも、名前を呼び間違えないことだけを考えているだろう。そして呼びかけ。ここで小学校生活の思い出、保護者や担任への感謝の言葉を述べる。6年生の先生たちが半分以上考えた文章であることは分かっているが、それでも子供たちの成長を感じる。

 小学校の卒業式は一生に一回しかない。子供たちは最後の最後までコロナに振り回されてしまった学年でもある。卒業して行った子供が今後自分の人生を切り開いて行って欲しいと願っている。

卒業式で子供が「旅立ちの日に」を歌える日が早く来て欲しいと願っている。

そんなことを思いながらYouTubeの「旅立ちの日に」を聴いた。胸が熱くなって涙がこぼれてしまった。(歳をとるとともに涙腺が緩くなってきている)