学級王国と学級共和国

学級王国と学級共和国

 自分が教員になってしばらくすると、学級王国という言葉が出てきた。担任が中心となって自分の思い通りに学級経営をしていくというものである。どちらかというと年配の先生に多かったと思う。しかし、この頃は学級王国という言葉をとんと聞かなくなった。

担任も子供も同じ権利をもち、全て公平に行う学級が増えてきた。休憩時間には子供とドッジボールを行う。学級会で子供が決めたことは「子供が決めたことだから」と言って周りのことなど考えずに強行しようとする。学級共和国とでも言うのだろうか。子供には「やりたくない」という拒否権まである。

子供たちに自治権があり一見学級共和国の方が素晴らしいように見えるかもしれない。子供たちの多様な考えを生かし、必要なことは多数決で決めれば良い。また、担任にとっても共和国の方が責任を取らなくていいし、その場その場の雰囲気に流されていけばいい。しかし、それでまともな学級経営が行えるのだろうか。学校というのは教師が意図をもって授業や活動をさせる場だと考えている。

一度子供の手に渡ってしまった権力を取り戻すことは容易ではない。既得権は誰もが手放したくないからである。しかし、そのままの状態で次の学年に渡すのは無責任というもの。教師がリーダーシップを取り戻すためには、賛同者を増やすこと。ある本には「自分が贔屓されていると思わせること」とあった。一人一人に丁寧に対応していく中で支援の輪が広がっていくように思う。