法律だけなら誰でもできる

法律だけなら誰でもできる

 

6月11日に参議院本会議で医療的ケア児支援法が全会一致で成立したとのこと。障害を持った児童に対する法案については、誰も反対できないような雰囲気がある。国・自治体の支援「責務」が明文化されたということだが、ただでさえ人手不足、ブラックと呼ばれている学校で十分な支援、安全が確保できるのか甚だ疑問である。

 

まず、参議院議員のうち医療的ケア児の支援に実際に関わった人がどれだけいるのか。所詮他人事だと思えば、簡単に賛成することができる。その皺寄せが全て実際に子供の登校している学校の子供や教員に放りかかってくる。ますますブラックが濃くなっていく。

 

 私が勤めていた学校で医療ケアが必要な子供が入ってきた。そのためにどのようなことが起こったか。

1教室がその一人の子供のために割り当てられ、算数の少人数を行う教室がなくなった。手洗い場などを室内に作ったために、その子が卒業しても元の教室として使うのは難しいだろう。

2一人の子供のために、教師一人、看護師1名が就いた。教員の給料は700万ほど。看護師の給料まで含めれば一千万程か?これが卒業まで続く。

 

 問題点は

1無免許

そのクラスの担任は今まで普通学級の担任だった。特別支援の免許はもっていない。

2看護師の確保ができない。だったら教員はすればいいという安易な考え。

  文部科学省から「学校における医療的ケア・教員等が行うことのできる医療的ケアの内容と範囲」として「たんの吸引等の 5つの特定行為に限り、研修を修了し、 都道府県知事に認定された場合には、「認定特定行為業務従事者」として、一定 の条件の下で制度上実施できることとなった。

  つまり、看護師が見つからなければ教員がやれば良いということである。さらに実際にあったことだが、研修を受けるように強要されそうになった。

 

  医療的ケアが必要な子供について、最大限の配慮をすべきということは理解できる。しかし、国や行政が財政的、人的な支援を行わなければ、その皺寄せは教員だけでなく子供にも降りかかる。

  さらに、なんのための特別支援学校なのか。なぜ特別支援学校を選ぶことができないのか、そのことについて考えることの方が先決ではないだろうか。