なぜ教員はブラックになってしまったのか

なぜ教員はブラックになってしまったのか

 

「教師のバトン」が炎上しているらしい。本来なら、私のような年齢の高い教員が若い教員や教員を目指している人たちに対して教職の魅力を伝える場として考えたのだろう。しかし、ふたを開けてみたら教員のブラックさが余計に出てきてしまったようだ。

 

わたしが教員になったのは昭和の時代。バブルが膨らみ始めていた時期。もう40年ほど昔の話である。それでも小学校教員の倍率は5倍くらいあったと思う。教えるという仕事自体は変わったわけではない。しかし、その頃は7時前には家に帰っていたし、土曜日の午後には同年代の先生たちと昼食を食べてから帰っていた。結婚して子どもができた後でも家族で食事をすることができた。

30年ほど前には中学校に勤めたこともある。部活動指導後の会議、帰宅が9時近くになることもざらだった。確かに体はきつかったが、ブラックだとは思わなかった。(その頃はやっと月1回土曜日が休みになった)

部活動の試合があり、日曜日がつぶれてしまうこともあった。それでも生き生きとしていた。特に中学校の先生は夏休みを使って旅行に行く先生も多かった。

 

なぜブラックになってしまったのか

 

保護者対応・保護者の変化

教員として、「子どもと触れ合うこと」、「子どもに教えること」これらの活動は多少忙しくてもストレスにはならない。ではストレスに感じることは何なのだろうか。

3月になると心を悩ませることがある。成績処理や通知表とか要録ではない。給食費などの未払い分について。このままでは会計報告をつくることができない。家庭連絡にしても、いつ払ってもらえるのかはっきりしない。学年末にテストなども採点しなければならないのに。銀行引き落としになった頃からひどくなった。銀行引き落としになり仕事量は減ったが、「未納の子供への連絡」、「現金で持ってきたこの分を銀行口座に入れる」などの作業は結構手間がかかる。

 

 昔は学校のことが最優先だった。食費を削っても給食費など学校への支払いはきちんと行ってくれる家庭がほとんどだった。

 

がんばりが認められない

 残業代が付いていないわけではない。1日に1時間20分ほどの残業代は含まれている。今だったら6時には帰れるはず。日曜日に1日部活動の試合に出て、3000円ほど。8時間で3000円だから時給に直すと400円弱。

 昔は人材確保法案というのがあり、教員の給料は一般の公務員と比べて少し高かった。教員の待遇をよくすることで人材を確保しようとした。教員として仕事は忙しいが、認められているという気持ちになることができた。しかし、この法案も形骸化するとともに残業代も現状に合っていない。これで教員になってほしいと考える方がおかしい。

 

 魅力的な職場にするために考えてほしいことについては回を改めてお伝えしたい。