教師の見方が変われば、子供も変わる

 小学校1年生の担任をしていたときに、全く言うことを聞かない男の子がいた。指導しようとすると、顔を背ける。毎日何かしら叱っていたような気がする。1学期の個別懇談会で母親にはかなり厳しい言い方をした。

 しかし、その男の子の一言で見る目が変わり、その子も変わっていった。

 生活科の授業でどんぐりゴマで遊ぶために、どんぐりに爪楊枝を刺すための穴を開けていた。そのときである、その男の子が覗き込んで「先生怪我しないでね。心配だよ」と言ってくれた。この言葉は今でも忘れない。その子の優しさに気づくことができた。

 それ以来その男の子を見る目が変わった。今までと大きく行動が変わったわけではないのに、叱ることがほとんどなくなった。さらにこちらも優しく声をかけるようになった。さらに優しく声をかけることで、彼の自己肯定感も上がっていた。2学期の後半にはいろいろな話を彼からしてくれるようになった。

 

 学級担任をしていると、この子さえいなければ学級経営がうまくいくのにと思われている子供がいる。昔は仕事帰りに喫茶店に寄ると隣から同業と思われる人から子供や保護者の悪口が聞こえてくることもあった。聴きながら保護者がいないか他人事ながら心配になったことも何度もある。今は忙しく帰りも遅いので喫茶店に寄って帰ることもできなくなったので、心配も無くなったが。いくら子供の悪口を言っても、子供は変わらない。

 しかし、子供を見る目が変われば、子供も変わる。このような経験は1度だけではない。

 

閑話休題

 「不親切な漢字カード」を作った。市販の漢字カードにはイラストも多く、音読み、訓読み、使い方、さらにはその漢字の成り立ちや使い方まで書かれているものもある。しかし今回作った「不親切な漢字カード」は表面に漢字しか書かれていない。字を読むことに集中させたい。