特別支援教育 あれこれ1

特別支援学級の担任になり積極的に障害を持った子どもと関わりあうようになって5年ほど経った。しかし、それ以前にも教室に発達障害と思われる子供は何人もいた。教室に一人ぐらいはいた。

 

 その中で思い出に残る子供のことを伝えたいと思う。

 

 20年ほど前までは、自閉症ADHDなどの発達障害に対する共通理解はほとんどなされなかった。子供が暴れたり、パニックになったりする原因を保護者特に母親の育て方にあると考えていた。

 6年生で担任した子供にA君と言う男の子がいた。修学旅行が近づいてきたので班別行動を考えていた。その時はにこやかに話し合っていた。しかし給食の時になると急に顔色をかえ箒を持って隣のクラスのB君を追いかける。ふざけていると言う感じではなく真剣に追いかけていた。相手のB君はすぐに逃げて怪我などはなかった。朝は一緒に遊んでいたのに、何があったのだろうと周りの子供に聞いても、特にトラブルはなかったと言うことだった。

 その後保護者を呼び、A君の育ちについて聞いた。(問いただしたと言う方が正しいかも)兄が剣道をやっていて、そちらの応援に行くことが多かったと言うことだった。その結果、もっとA君に関わるようにしていきましょうと言うことになった。(今だったら全く考えられない。)落ち着いた時に、なぜ追いかけたのか聞くと保育園の頃些細なことから喧嘩したと言うことを思い出したと言うことだった。(フラッシュバック?)

 学力的にも真ん中ぐらいだったこともあり、発達障害とは全く思わなかった。いろいろ声をかけたり、掃除を一緒にやったり(普通の問題児に対する対応と同じ)していくうちに落ち着いた。

 

 閑話休題

 A君はその後2学期には学級代表にもなった。自信を持つことができるようになり、自己肯定感も上がったからだろうか。それでも担任(自分・男)にお姫様抱っこしてと甘えることもあった。

 今から考えてみて、反省すべき点は育て方に問題があるとして、適切な対応をとることができなかったこと。特に知的遅れがなかったので発達障害だとは考えられなかった。彼の内面にどのような問題があるのか、今だったらスクールカウンセラーの活用も考えることができただろう。