教員の辞書に「定時退勤」はない

教員の辞書に「定時退勤」はない

 

 今から約40年前、教員になった頃は、全く勤務時間という概念はなかった。朝職員の打ち合わせまでに学校に着き、帰りは先輩の先生が「帰るぞ」と言えば一緒に帰ったくらい。それから喫茶店で1時間ぐらいコーヒーを飲みながら、少年サンデーを読んで帰るというのが定番だった。それでも家に7時には着いていた。

 土曜日は半日勤務。いわゆる半ドン。3時間授業を行い子供が帰ると昼食を食べに出かける。2時間ほどかけて昼食を食べて戻ってくる。直接家に帰ることも多かった。

 夏休みも、特に仕事がなければ10時くらいに学校に着き、12時前には昼食に行く。2時近くに戻り、机の上を片付けて3時には帰るというパターンだった。

 そのころは、担任する子供のことだけ考えていればよかった。保護者との関係も今のようにギスギスした感じではなかった。

 いつ頃からか、「○○小学校は帰りが遅い」などという話が聞かれるようになった。しかし、その頃は一部の教員が遅くまで残って仕事というよりも、一部の教員が話をしていて遅くなるという感じだった。早く帰る教員もいたし、早く帰る(6時くらい)ことは可能だった。(その頃でも、勤務時間という概念はなかった)

 中学校勤務になると、帰りが遅くなるということはその頃でも常識だった。部活動指導、生徒指導、進路指導など子供との対応が小学校以上に重要になるので仕方ないという思いだった。それでもその頃は、あまりブラックとは言われなかった。きちんと役割分担がなされていたように思う。

 一つは教科担任制のため、担任を持っていない教員が数名いて、その教員が学年会計などの担当をしていた。

 

教員のブラック化と言われるようになったのはいつからだろう。10年ほど前までは、保護者との関係に問題はなかったように思われる。「モンスターペアレント」という言葉が聞かれるようになったぐらいからではないだろうか。

授業が終わって、ほっとしているところに保護者(モンスターペアレント)からの苦情の電話、この電話への対応は精神的にも辛い。

また、給食費の未払いの問題もこの頃から顕著になってきた。「集金を早く集めてください」という教頭と「○○までに払います」と言って払わない保護者。こんなところからブラック化が始まったように思う。