クレヨンに肌色がない

クレヨンに肌色がない

 クレヨンの箱の中に「肌色」というクレヨンがなかった。このことについて考えたい。

 そろそろ日本語教室に来る子供も決まってきた。母語やルーツをもつ外国の文化も大切にさせたいと考えている。掲示物についても、日本語だけでなくそれぞれの国の言葉でも示している。 

日本語教室にはブラジルやフィリピンなど、外国にルーツをもつ子どもたちが1日に1時間から2時間程日本語を学習するために来ている。

 

肌色はどうする

一緒にやっている先生から色の名前を覚えさせたいと言う話があった。

肌色というのはとても便利な色である。

小学校で人の絵を描くと、顔の色は肌色のクレヨンで塗って終わり。このことについて何も思っていなかった。どの子供の顔の色もほとんど同じだった。しかし、私の顔の色はもう少し黒い。多少違和感があったが、それ以上何も思わなかった。

 その話の中で肌色という色をどうするのかということが話題になった。日本語教室の担当になるまでは、気にならなかった。考えて見れば「肌色」というのは実に奇妙な色の名前である。日本人の肌の色に近いので肌色。しかし、日本語教室に来る子どもたちの肌の色はまちまちである。

 

肌色がない

 肌色のクレヨンを使おうと思って、探してみると「肌色」というクレヨンはなかった。その代わりに「うすだいだい」という色の名前が書かれていた。ペンテルのクレヨンでは1999年から「うすだいだい」という言い方をしているとのこと。

 もう「うすだいだい」という言い方をして20年ほど経っている。しかし授業でも「肌色」ということが多い。子供たちも「肌色」という言い方をしてしまう。日本語教室で外国にルーツを持つ子供たちに出会わなかったら、このようなことを感じることはなかっただろう。

 

外国では

 アメリカのクレヨラが、新しい肌色のクレヨンを発売することが話題になっている。なぜなら、そのクレヨンは24色パックだから。それぐらいの多様性を認めることができるようになりたい。