特別な支援が必要だった子供たち

特別な支援が必要だった子供たち

 教員生活を40年近くやっているといろいろな子供たちに出会うことができた。その中で特別な支援が必要だった子供も多くいた。最初は他の子供とどうして同じ行動をすることができないのか、懇談会では保護者をせめてしまったこともあった。保護者の方も言われ慣れているのか、黙って聞いてくれた。今となっては申し訳ないことをした。

 それまでも学校に特別支援学級はあったが、ほとんどが知的な支援が必要な子供ばかりだった。

 

教室の中の子供

 今から書く子供は、どの子もとても優れた子供であり、担任が少し配慮することで伸びる力を持っている。教員の理解が進むことで、この子達が学校でもっと活躍できるようになってほしい。

 

予定変更ができない子

 20年ほど前、普通学級にも配慮が必要な子供がいることに気がついた。A君は学級の中でも真面目で級長をするぐらいの子供だった。ある日、算数が早く終わったので「みんな、頑張ったので今からドッジドールをやろう」と言った。ほとんどの子供は「やったー!」と言って喜んでいるのに、その子だけは真っ青な顔をして困った様子だった。すぐに「やっぱり算数の続きをやるぞー」と言ったら落ち着いてくれた。

 急な予定の変更でも、子供たちが喜んでくれるのなら大丈夫と考えていた。しかし、急な予定の変化に対応できない子供がいるということを初めて知った。

 

フラッシュバックする子

 6年生で担任したB君について。給食の時に保育園でいじめられたことを急に思い出して、箒を持って隣の教室に走り込んでいった。何とか相手の子を逃がして怪我をさせなくて済んだ。しかし、1時間目には相手の子供と一緒に修学旅行の計画を立てていたのである。こんなことが何回か続き、保護者を呼ぶことになった。

 その時には、保護者の育て方の問題ということになった。保護者は納得できなかったと思う。しかしそれからはフラッシュバックすることも少なくなった。

 

 今から考えれば、知らなかったでは済まされない問題であろう。教員研修の中でも、このような支援が必要な子供への対応の仕方はあまり取り上げられる事はない。しかし、これが学級崩壊にも繋がっていくように思われる。

 一人の子供を大切にできない教員が多くの子供を大切にできるわけがない。