ヤングケアラーについて

ヤングケアラーについて

 

 恥ずかしい話、今まで特別支援学級の担任をしていたが「ヤングケアラー」という言葉を知らなかった。「ヤングケアラー」とは「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどをおこなっている、18 歳未満の子ども」のことを指す。

 わたしがこの言葉に興味をもつわけは、小学校で特別支援学級の担任をしていたからである。学級の中には言葉をほとんど理解することができない子どもがいた。また、寝たきりで痰の吸入が必要な子供もいた。どの子も自立することは難しい。ヤングケアラーの世話が必要になる可能性もある。将来にわたり障害をもった兄弟と関わっていかなければならない。保護者に何かあれば面倒を見ていかなければならない。食事・排泄なども支援が必要なため長時間目を離すことができない。

 周りからは、兄弟なのだから世話をして当たり前というように見られることも問題。(自分もそうであった)

 

ヤングケアラーに対する支援が必要という認識がない。

 兄弟に知的身体的な障害があり、自立することが難しい子供がいる。そういった子どもに対する支援は少しずつ改善されてきたように思う。また、重度の障害のある子供も小学校の特別支援学級に入るようになってきた。商業施設でも障害のある子供を見かけることもある。

 しかし、障害のある子供の兄弟にも支援が必要であるという認識はあまりなかった。しかし今回の記事を見て、中には介護のために1日7時間も使っている子供がいるということだった。兄弟の介護のために進学、希望する職業への就職、結婚など諦めたり制限されたりすることになる。さらに深刻なのは、さまざまな支援制度があるにもかかわらず、相談できる相手がいないために利用できないこと。まして一番の大人の相談相手としての担任にも相談できない。

 

 教員として勤めてきて、障害をもった子供やその保護者と接してきた。その子供の兄弟(将来のヤングケアラー候補)も見てきた。共倒れになってしまわないか心配である。兄弟に対しての支援を考えてほしい。