絵本 海のいのち

絵本 海のいのち(作 立松和平 絵 伊勢英子 ポプラ社

 

 2004年までニュースステーションと言う報道番組があった。(現在の報道ステーションの先駆け)その中でリポーターとして立松和平という人が出て「心と感動の旅」のコーナーを担当していた。朴訥な喋り方にとても好感をもった。絵本作家で実際に顔を見たことがあるという例はほとんどない。

その立松さんが書かれたのが「海のいのち」である。このお話は絵本で読むより光村や東京書籍の教科書で読んだ人の方が圧倒的に多いはず。絵を違う人が描かれているためか、作者とこの絵本が結びつかなかった。

6年生の担任になる度にと、「海のいのち」をどのように授業をするか4月から考えていた。読み聞かせでサラッと流すなら問題ないが、国語の授業で取り上げるとなると、作者が何を伝えたいのか。実際今でも自分の中で結論が出ていない。それでいてこの題材で授業を行わなければならない。主人公太一の生き方について、それぞれの子供が自分のこれからの生き方と照らし合わせて考えてくれればいいのだが、当然テストも行わなければならない。特に「お父ここにおられましたいか」とクエに向かって話しかける場面は6年生の子どもにとってとても難解だと思う。

立松さんの「○○のいのち」は「山のいのち」(1990年)から「牧場のいのち」(2007年)まで7冊出している。どの本も考えさせる本だが、立松さんは「いのち」にこだわりがあったのだろうか。

 

閑話休題

実は自分の義父(妻のお父さん)も漁師をしている。もう80歳を超えているのに今も漁に出る現役である。今でも牡蠣やメバルなどを送ってもらうことがある。(妻と結婚した当時は太一だったがいつの間にか与吉じいさになってしまった)授業をするたびに、太一と義父とが重なって思えた。

今コロナ禍で妻も含めて会いに行くことができないことは、とても残念である。早く終息してほしい。